「うちも外国人を雇ってみようか」と思ったら、採用前に必ずやってほしいこと

少子高齢化による人手不足を背景に、「外国人材の採用を検討している」という企業からのご相談が、ここ数年で大きく増えています。

ただし、外国人雇用には日本人の採用にはない「在留資格」という独自のハードルが存在します。今回は、初めて外国人を雇用しようとしている企業の経営者・人事担当者に向けて、採用前に必ず押さえておいていただきたいポイントを解説します。

在留カードは「見るだけ」では不十分

外国人を雇用する際、まず必ず行っていただきたいのが在留カードの確認です。

ここで多くの企業が陥りがちなのが、「カードを目視で確認して終わり」というパターンです。氏名や在留資格、在留期間といった記載事項を見て、「特に問題なさそうだから大丈夫」と判断してしまう。実はこの確認方法には、二つの落とし穴があります。

一つは、偽造カードを見抜けないこと。在留カードは精巧に偽造されたものが出回っているケースがあり、見た目だけでは真贋の判断がつきません。

もう一つは、有効性の確認ができないこと。在留資格が既に取消処分を受けていたり、何らかの事情で失効していたりしても、カードの券面上はそれが分からないことがあります。

実は出入国在留管理庁自身も、この点を課題として認識しています。在留カードの偽造技術は年々精巧になっており、なかには実在する有効な在留カード番号を流用して作られた偽変造カードも確認されているとのことです。つまり、「番号まで含めてそれっぽく作られたカード」が出回るリスクが、以前より高まっているということです。

こうした背景から、出入国在留管理庁が無償で提供しているのが「在留カード等読取アプリケーション」です。スマートフォンのNFC機能を使ってカードのICチップを読み取ることで、

  • 券面の記載内容とICチップ内の情報が一致しているか(偽造・改ざんの有無)
  • そのカードが現在も有効か(失効・取消処分を受けていないか)

の両方を、その場で確認することができます。以前はこの二つを別々のシステムで確認する必要がありましたが、現在は一つのアプリで完結するようになっており、企業側の確認作業はかなり簡略化されています。

採用面接の段階で「在留カードを見せてください」だけで終わらせず、このアプリでの確認を一手間加えていただくことを強くおすすめします。

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技人国ビザでは「現場仕事」はできない

外国人材の在留資格にはいくつもの種類がありますが、現在もっとも人数が多いのが「技術・人文知識・国際業務」、いわゆる「技人国(ぎじんこく)」と呼ばれる在留資格です。エンジニアや通訳、営業職、企画職など、専門的な知識やスキルを必要とする業務に従事する方が対象です。

ここで企業側が誤解しやすいのが、「技人国の資格を持っているから、どんな仕事をさせても大丈夫」という思い込みです。

技人国は、あくまで「専門性を要する業務」を前提に許可されている資格です。たとえば本来は営業企画として採用したはずが、繁忙期だからと工場のライン作業や倉庫の梱包作業を手伝ってもらう。こうした、いわゆる現場系の単純作業(ブルーワーク)は、技人国の在留資格では認められていません。

「本人も嫌がってないし、ちょっとくらいなら」という油断が、後述する重大なリスクにつながります。

知らなかったでは済まされない「不法就労助長罪」

外国人を、在留資格の範囲を超えて働かせてしまった場合、責任を問われるのは働いていた本人だけではありません。雇用していた事業主側にも、罪が及ぶ可能性があります。これが「不法就労助長罪」です。

該当してしまうと、事業主には懲役3年以下、または罰金300万円以下という、決して軽くはない罰則が定められています。

そしてこの罪が厳しいのは、「知らなかった」が通用しにくい点にあります。最初から違法と分かっていて働かせていた悪質なケースだけでなく、

  • 外国人の雇用が初めてで、ルールの存在自体を知らなかった
  • 確認を怠ってしまっただけで、悪気はなかった

といった、いわば「うっかり」のケースであっても、適用される可能性があるのです。経営者の立場からすると厳しいようにも感じますが、それだけ在留資格の確認が、企業に求められる重要な義務だということでもあります。

もし「確認しないまま雇ってしまった」と気づいたら

ここまで読んで、「実はうちも、もしかして…」と心当たりが浮かんだ方もいらっしゃるかもしれません。

もし採用後に、在留資格の範囲外で働かせてしまっていたと気づいた場合は、まず何よりも先に、その方を就労させるのを止めてください。そのうえで、ご本人に出入国在留管理局への出頭を促していただくことが大切です。

企業側に入管への通報義務があるわけではありません。ですが、状況を入管に情報提供しておくことは、結果的に望ましい対応といえます。事業主として「気づいた時点で誠実に対応した」という事実は、後の対応において大きな意味を持ちます。

何より大切なのは、そもそもこうした事態を起こさないことです。雇用の前に在留資格をきちんと確認する、その一手間が、結果的に会社と従業員双方を守ることにつながります。

まとめ

外国人雇用は、人手不足に悩む企業にとって有効な選択肢である一方、在留資格という日本人雇用にはないルールへの理解が欠かせません。

  • 在留カードは目視だけでなく、読取アプリでICチップまで確認する
  • 技人国などの在留資格には、それぞれ認められる業務範囲がある
  • 知らなかったでは済まされない不法就労助長罪のリスクを理解しておく
  • もし不安があれば、採用前に専門家へ相談する

「うちの場合はどうなんだろう」と少しでも不安に感じた方は、お早めにご相談ください。

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